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横須賀の冤罪事件顛末
インタビュー 鈴木宗男 収監を決めた「国家の意思」 週刊朝日 9月14日(火)17時5分配信 民主党の代表選が佳境となったこの時期に、最高裁が小沢一郎前幹事長を支援する新党大地の鈴木宗男衆院議員(62)の上告を棄却する決定を下した。鈴木氏は議員を失職、収監される。なぜこのタイミングでの決定なのか、永田町には揣摩憶測が飛び交った。本人はどう受け止めているのか。本誌編集長が直撃した──。 ──それにしても、驚きました。民主党の代表選への影響はありますか? 「さっそく菅陣営の選対幹部が私の上告棄却を『政治とカネ』にからめて演説で使っていました。私の事件と小沢さんは何の関係もないのにですね。この後すぐに地元の北海道で決起集会があって、私も応援に駆け付ける予定でしたが、それもかなわなくなりました。裁判所の決定に官邸の意思とか意図が働いたかどうかはわかりません。ただ、結果として小沢さんの不利につながっている。やはり、世間の人たちが言っているように、政治的な何かがあったのかなぁと……」 ──しかし日本には三権分立の原則があって……。 「いや、それは建前としてはですね。例えばいま、天下り批判が激しいですが、最高裁には“ムネオ追い出し”の張本人だった外務省の竹内行夫(たけうち・ゆきお)元事務次官が天下って判事になっています。司法試験に受かったわけでもないのにです。こういう行政と司法がくっついているのは日本くらい。判検交流といって検察官が人事異動で裁判官をやったり、その逆もある。これがなれ合いにならない保証はない」 ──確かに事実はどうあれ、そうした疑いをもたれること自体が司法不信につながりかねないですね。 「そうです。みなさんから、なぜ、このタイミングだったのかと聞かれますが、私のほうが教えてほしい。私が上告してから決定まで2年6カ月、この期間は事件によってまちまちで最高裁の裁量にまったくまかされている。裁判所に配慮の義務はないと思いますが、なぜ代表選が終わるまで待てなかったのかというところに国民の不信の芽が生まれる可能性はあります」 ──せっかく大阪地裁がナイスなジャッジをしただけに、そういう雰囲気が生まれるのは残念です。 「私の『心友』の佐藤優さんがこんなことを言っていますね。村木厚子さんの無罪が出て検察批判の声が高まるのを恐れ、先手を打ってやったのではと。そういう見方があるのかもしれません。それから、私が収監されることで、外交機密費の不正使用などへの追及がゆるみ、喜んでいるのは外務官僚たちだとね」 ──村木さんの主任弁護人の弘中惇一郎(ひろなか・じゅんいちろう)さんは鈴木さんの弁護人でもある? 「そうです。それから、足利事件で菅家利和さんの冤罪を晴らした佐藤博史(さとう・ひろし)弁護士です。ふたりは私の一審の裁判を見て、これはおかしいから私たちが引き受けましょうと、向こうからやってきてくれたんです。弘中先生に言わせると、私の事件は村木さんの事件とまったく同じ構図だと」 ──それは? 「つまり、密室で作られた検察の調書によって有罪にされている。その他の証拠はありません。デッチ上げ調書事件だと。しかし私の裁判では、公判での証言より検察の調書のほうが信憑(しんぴょう)性が高いと判断され、有罪は覆らなかった。ふたりの先生が一審からついてくださっていれば、違う結果だったかもしれません」 ──冤罪を防ぐには取り調べの可視化ですね。 「やると言っていた千葉景子(ちば・けいこ)法相の変節にはガッカリしました。小沢さんが総理になればすぐにでも可視化は実現するでしょうが、菅さんがなってもぜひ、やってほしいと思います」 受託収賄、あっせん収賄など四つの罪に問われた衆院議員鈴木宗男被告(62)の上告審で、 最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は7日付で、被告側上告を棄却する決定をした。 懲役2年、追徴金1100万円の実刑とした一、二審判決が確定する。 鈴木被告は確定後、公選法などの規定により失職し、収監される。 刑期を終えても5年間は立候補できなくなる。 鈴木被告は、政治資金規正法違反罪と議院証言法違反罪を含め、一貫して全面無罪を主張していた。 2004年の一審東京地裁判決は、すべての事件を有罪と認定した上で、 「高度の廉潔性を求められる要職にありながら国民の信頼を裏切った」と非難。 「反省は皆無で、虚偽の陳述をしてはばからない被告に刑を猶予するのは相当ではない」として、 実刑を言い渡した。 二審東京高裁も08年、「行政に不当な影響を及ぼし、社会の信頼を害した」として、 一審を支持していた。 鈴木被告をめぐる一連の事件では、佐藤優外務省元主任分析官(50)ら12人が起訴され、 鈴木被告を除く11人の有罪が確定している。 一、二審判決によると、鈴木被告は北海道開発庁長官、官房副長官だった1997〜98年、 林野庁への口利きの見返りなどとして、2社から1100万円のわいろを受領するなどした。 鈴木被告側は最高裁に異議を申し立てる方針で、 収監されるのは早くても数週間後となる見通し。 捜査段階や一審公判中の拘置期間の一部が除かれるため、 服役するのは長くても1年5カ月程度となる。 佐藤優の眼光紙背:第79回 9月8日午後、7日付で最高裁判所第一小法廷が鈴木宗男衆議院外務委員長(新党大地代表)の上告を棄却した。鈴木氏の弁護人は異議を申し立る意向を表明しているが、過去の例でこの種の異議が認められたことはない。近く懲役2年の実刑が確定し、鈴木氏は刑務所に収監される。 最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。 このタイミングで最高裁判所の司法官僚が鈴木氏の上告棄却を決定したことは、きわめて合理的だ。それには2つの理由がある。 第1の理由は、9月10日に大阪地方裁判所で行われる村木厚子元厚生労働省局長の裁刑事判で、無罪判決が予想されているからだ。そうなれば特捜検察は正義の味方であるという神話が裁判所によって覆される。当然、世論の特捜検察の取り調べに対する疑念と批判がかつてなく強まる。そうなると、「国策捜査」によって事件が作られたという鈴木氏の主張を完全に無視することができなくなる。 第2の理由は9月14日の民主党代表選挙で小沢一郎前幹事長が当選する可能性があるからだ。最高裁判所の司法官僚にとっては、これも頭痛の種だ。小沢氏は鈴木氏の政治的能力を高く評価している。そもそも鈴木氏を衆議院外務委員長に抜擢したのは小沢氏だ。小沢政権になれば鈴木氏が政府の要職に就くなど、政治的影響力が高まるのは必至だ。そうすれば排除が困難になる。 この結果にいちばん喜んでいるのは外務官僚だ。鈴木氏が収監されることにより外交機密費(報償費)の不正使用や、外交秘密文書の破棄に対する責任を追及する政治家がいなくなると外務官僚はほっとしている。しかし安心するのはまだ早い。鈴木氏は小沢氏に外務官僚に関するヤバイ情報をすべて引き継いでいるはずだからだ。 いずれにせよ、今回、最高裁判所が鈴木氏の上告を棄却したことは、普通の国民の目には見えにくいが、「誰が日本国家を支配するか」を巡って、資格試験に合格したエリート官僚と国民によって選ばれた国会議員の間で展開されている熾烈な権力闘争を反映したものだ。(2010年9月8日脱稿)
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